ノロウイルスもロタウイルスも手強いウイルス、屁でもうつる?
冬場の急性胃腸炎原因の代表的なウイルス、ノロウイルスとロタウイルス。
いずれも、急激な嘔吐と下痢を引き起こし、感染性も強い疾病です。
ノロウイルスは秋から冬にかけて流行しますがロタウイルスはそれよりちょっと遅く、
冬の終わりから春先にかけて流行します。
しかし、最近では、ノロウイルスは1年中発症しています。
ノロウイルスにはワクチンがない
ロタウイルスは大人もかかりますがかかるのは主に小児で、
5歳までに95%の小児が罹患すると言われています。
一度かかると、抗体ができその後はまったくかからないわけではありませんが、
軽く済むという特徴があります。
こうした性質を利用して、ロタウイルスにはワクチンが作られています。
その点、ノロウイルスでは小児から大人まで、また何度でもかかるという厄介なものです。
また、何度罹患しても抗体はできませんからワクチンも作られていません。
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2つのウイルスには効く薬がない!
この2つウイルスを退治するお薬はなく、
かかってしまったら対処療法を行うことになります。
しかし、安易に下痢や嘔吐を止めてしまうと体内にウイルスが残ることになりますので
慎重にしなくてはなりません。
症状ですが、ノロウイルスの特徴は激しい嘔気と嘔吐です。
下痢もありますが、さほど強烈なものはありません。
いずれも半日から1日で症状が治まることが多く、
熱が出ても38度くらいで長引くことは多くありません。
嘔吐が激しく水分がとれない状況が続くと
脱水となりショック状態を発生させることになりますので、
入院・点滴治療が必要となりますがまれです。
通常は、家庭で回復します。
ロタウイルスは激しい下痢(白色の水様便)と発熱が数日間と長く続きます。
かかるのが小児となりますので、脱水をおこしやすく点滴や入院治療が必要となる場合もあります。
感染ルートは同じ
2つとも感染ルートは同じで経口感染です。
ウイルスのついたものを食べる、ウイルスが手について
それを知らずに口に触れることで体内に取り込まれてしまうというものです。
ビデオで撮ってみるとよくわかるのですが、
人間は黙っていても手を顔、口元にもっていくものなのです。
よくマスクをかけて感染予防というと
空中に浮遊しているウイルスを防いでいるとイメージしますが、
手を直接口元に触れさせないということが一番の効果だという医療者もいました。
感染予防の消毒方法は?
ノロウイルス、ロタウイルスともに通常の消毒用アルコールでは死滅しません。
有効なのは次亜塩素酸ナトリウムです。これはハイターやブリーチと呼ばれる漂白剤です。
この水溶液を作り、食器やおもちゃの消毒、
手の触れるトイレのドアノブや手すりなどを拭きあげることが必要です。
下痢便や吐しゃ物を処理するときは素手では絶対行わず、
マスクを着用し医療用の使い捨て手袋にエプロンを使用し処理するようにします。
汚物処理セットを1セット常備しておくと、もしもの時に便利ですよ。
とにかくウイルスを持ち込まないようにしなくてはなりません。
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屁で感染するか?
ところで、おならでウイルスが感染するかという疑問を持たれる人がいらっしゃいますが、
そうした研究は特にされていないようです。
ロタウイルスは下痢便1g中に1000億から1兆個のウイルスがいます。
そしてそれが空中を漂うことを考えれば、
おならから直接ウイルスが飛び出さなくても、
排泄物から飛び出してくることは考えられないこともありません。
しかし、おなら単独あれば衣服がありますし幼児の場合おむつなどがありますので、
おならでウイルスに感染ということは考えにくいと思われます。
下着やおむつについた便から感染はありますので、
処理を正確に行うことで感染を広げないようにすることが大切ではないでしょうか。
自己防衛には定番のマスク、手洗い、うがい
ノロウイルスは非常に軽いため、
嘔吐して吐きだしたものが床に落ちるとその反動で跳ね返り、床上1メートル近くに浮遊します。
そこに吐しゃ物の処理で掃除機など使うと、
ウイルスを部屋中に広げることになります。
ホテルの宴会場でそのようなことが起これば、
その会場また周辺にウイルスを拡散してしまいます。
実際あった例として、ウイルスが空調設備の中に入り込み
大多数の宿泊客が感染したという報告もあります。
人混みに入る時はマスクを。
帰ってからは手洗い、うがいを励行してウイルスを持ち込まないようにしましょう。