猩紅熱で失明するというのは過去の話?
猩紅熱(しょうこうねつ)と読みます。
「以前は良く聞いた名前の病気だが最近は聞かないな」と思われる人も多いかと思います。
猩紅熱で失明といえば、ヘレン・ケラーを思い起こす方もいらっしゃるかと思います。
奇跡の人ヘレン・ケラーは目が見えず、耳も聞こえない、
加えて言葉を発することができない(後年には克服します)という三重苦の中で
教育家、社会福祉活動家、作家として世界的に活躍した20世紀の偉人です。
そのヘレン・ケラーが2歳の時に光を失った原因か猩紅熱と言われています。
過去には子どもに多い伝染性の病気として、
明治時代に法定伝染病として指定されています。
その後医学の発達(抗生剤の発明等)で1998年には解除されています。
猩紅熱は溶連菌感染症
猩紅熱は溶連菌感染によって引き起こされる病気のひとつです。
ですから、今では「溶連菌感染症」という病気の中に猩紅熱は分類されています。
お子さんを育てた経験のある人であれば、溶連菌感染といえば
「ああ、あれね。うちの子供の保育園や学校で流行ったわ」と思い出すでしょう。
溶連菌感染症とは
では、この溶連菌感染症にはどんな病気があるのでしょうか?
溶連菌とは溶血性連鎖球菌というのが正式な名前で、大きく分けるとαとβの2つになります。
このβ溶血のうちA群、B群、C群、G群がヒトに対して病原性を持っています。
溶連菌感染症を引き起こすのは90%がA群です。
症状は発熱、頭痛、咽頭通、
四肢痛、悪寒、紅色発疹(全身)、舌の腫れ(いちご舌)などが現れます。
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溶連菌感染症のなかにある病名
病名としてあげれば、咽頭炎や猩紅熱の他、伝染性膿痂疹、丹毒、
リンパ管炎、蜂窩織炎、筋膜炎、肺炎、心内膜炎、血管性紫斑病、急性糸球体腎炎など。
また、直接の原因でなくてリウマチ熱などのように発症に関係している場合も少なくありません。
失明と関連しては、これら溶連菌感染が結膜下出血をおこすためといわれています。
その他の病気で結膜下出血をおこす急性のものとしてインフルエンザ、
マラリア、ジフテリア、コレラ、麻疹などが上げられます。
現在では結膜下出血だけで失明をおこすことはないのですが、
結膜下出血だけでなく高熱や眼底出血などがあった場合は危険です。
専門医の診断を受けることが必要です。
抗生剤の発達で危機はすぎた?
溶連菌感染症の治療には抗生剤が力を発揮します。
ペニシリン系の抗生剤が主力ですが、
抗生剤にはアレルギーを発症する人がありますので慎重にする必要があります。
これまで飲んだお薬でアレルギーをおこしたことがないかしっかり医療機関に伝えましょう。
その他に抗生剤には副作用がありますので、
医療機関の説明を良く聞き、正しく服用するようにしましょう。
対処療法として、解熱、鎮痛、整腸剤を使用する場合もあります。
だいたい3日くらいで治療は終わりますが、合併症も考えられますので、
溶連菌が退治されるまで、医師の指示に従って抗生剤を飲み続けてください。
症状が治まったからと勝手に服用をやめてしまうのは厳禁です。
溶連菌は感染します
溶連菌はクシャミや咳で飛び散る、飛沫感染をします。
また、手についた菌が口から入る傾向感染があります。
現在、ワクチンはありませんから感染防止が大切です。
感染対策の基本は、どの病気でもそうですが、手洗い、うがいがまず第一。
そしてマスクですね。
咳、クシャミエチケットを身につけ、
ツバキの飛び散ったようなところは(テーブルや手すり、床等)
消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウム水溶液で拭き取るようにしましょう。
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感染防止の徹底を
家族に感染者がいると、次々にうつしあうことになります。
一度治ってもまたかかるということもありますので注意が必要です。
大人でも免疫力が低下した人や妊娠中の人はかかりやすいので注意しましょう。
特に大人でかかってしまうと重症化しやすいといわれています。
お薬を飲んで安静にしていることになります。
当然、症状のある期間は登園・登校は禁止です。
抗生剤による治療を行い症状が消失して、熱が下がり発疹も治まれば
医師の診断を受けてOKをもらってから登園・登校を再開してください。
抗生剤が効果を発揮するには少なくても1、2日はかかります。
まとめ
抗生剤の発達した現在では溶連菌感染症(猩紅熱)で
すぐに失明につながることは考えられませんが、
感染症でもありますので、早めの受診と適切な治療を受け、広げないようにしていきましょう。